脇汗や脇の臭いで悩んでいる方ならご存知の方も多い「脇汗ボトックス」
脇にボトックスという薬剤を注射することで脇汗を約半年(個人差あり)抑えることができる治療です。
メスを使わない多汗症治療として皮膚科・形成外科・美容クリニック等で受けることができます。
しかし、脇汗ボトックスは効果が永久的ではないことや費用が高めであることから
と悩まれる患者さんも多いようです。
また、他にも
- なぜ脇汗がおさまるの?
- 実際のところ効果はどのくらい続くの?
- 副作用が気になる
- 保険適用になるケースは?
など、カウンセリング時によく患者さんから質問される内容があります。
脇汗ボトックスを受ける前に知っておきたいことや私自身のボトックス体験談をご紹介したいと思います。
この記事の内容
ボトックスのメカニズム、なぜ脇汗が抑えられるのか?
私たちが汗をかくのは交感神経から「汗腺」に刺激が伝わることで汗をかきます。
ボトックスの成分であるボツリヌストキシン(天然のタンパク質)にはこの神経の伝達をブロックする働きがあります。
そのため、過剰な発汗を抑えることができます。
日本皮膚科学会のHPには以下のように書かれています。
A型ボツリヌス毒素(BT-A)は最も効率よく交感神経から発汗の指令をだすアセチルコリンを抑制します。手のひらや腋窩に2cm間隔で局所注射しますと1週間程で汗の量が減少し、約6ヶ月間持続します。
引用ー日本皮膚科学会
ちなみに脇下の汗腺には
- ニオイのもととなるアポクリン汗腺
- 汗のもととなるエクリン汗腺
の2つがあります。
ボトックスはこの2つの汗腺への信号をブロックし衰えさせるため「ニオイ」と「汗の量」の両方が抑えられると言われています。
脇汗ボトックスの体験談、効果は?
初めてボトックス注射を受けた時は2〜3日で汗の量が減ってきたのを感じ1週間くらいでほとんど気にならなくなりました。
「本当に脇汗が気にならない!」と感動したのを今でも覚えています。
また、生理前などホルモンバランスが崩れると脇汗のニオイが気になっていたのですが、それも気にならなくなりました。
一日中脇の下がサラサラなので服の汗ジミのチェックをしなくていいですし、仕事終わりに出かけるときも脇汗のことを気にしなくてよくなり、脇汗の悩み1つなくなるだけでかなりQOL(生活の質)が上がったと思います。
脇汗ボトックスのデメリットは?
私が感じたデメリットは、やはり効果が永久的ではないので徐々にまた脇汗が気になることです。
脇汗の手術は効果がずっと続きますが、脇汗ボトックスの場合は効果が切れたらまた注射をしなければならないので、そこは少し手間かなと思います。
効果の持続期間
持続期間は約6ヶ月(個人差あり)といわれてるクリニックが多いと思います。
これは、6ヶ月後に急に効果が切れるというわけではありません。
私の感覚ですと、
- 注射を打って1週間から4ヶ月くらいまでがしっかり脇汗が抑えられる
- 5ヶ月くらいから少し汗ばむのを感じる
- 6ヶ月を過ぎると治療前の脇汗の状態に戻る
といった感じです。
しかし、人によっては3ヶ月で効果が弱まって4ヶ月くらいで切れるという体験談も見かけます。
持続期間は汗腺の発達に個人差があるのとボトックスの打つ量や打ってきた回数によっても変わってくると言われています。
医師と相談して汗を抑えたい時期を逆算して打つ時期を決めることをおすすめします。
効果が持続しやすくなる方法
年間を通して脇汗を抑えたい場合は効果が完全に切れていない時期(4〜5ヶ月くらい)に次のボトックス注射を打つと効果の持ちが良くなると言われています。
効果が完全に切れた状態ですとせっかく衰えていた汗腺が復活してしまっているからです。
これを3〜4回続けると効果が半年以上に伸びたりします。
私の場合は最終的には7〜8ヶ月間隔で大丈夫になりました。
副作用は?
- 内出血(1〜2週間で徐々に消失)
- 注射部位の腫れと鈍痛(数日で治まる)
- 背中や胸の下など他の部位の汗が増える
③に関して感じ方は個人差があり、基本的には尿として排出されるそうです。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。外国において、ボトックス注用を投与された患者で胎児死亡が報告されており、また、本剤は動物実験で妊娠及び胎児への影響が認められている。
授乳婦→投与しないこと。
ボトックスが打てない方には美容皮膚科や美容クリニックで取扱いのあるこちら↓の制汗剤をおすすめしていました。
費用・保険適用について
脇汗の悩み・程度といっても人によってそれぞれです。
脇汗の量が異常に多い場合は「原発性腋窩多汗症」と診断されボトックス注射を保険診療で治療することが可能となります。
その場合は3割負担で両脇3万以内で受けられる病院・クリニックが多いようです。
診断のポイントは原因不明の多量の脇汗が半年以上前から続いていることや以下のような内容がポイントとなります。
詳しくは上記の「脇汗 情報サイト」に載っています。
また、美容外科など自由診療となる場合は両脇3〜10万円というクリニックが多いようです。
値段だけをみると保険で脇汗ボトックスの治療を受けた方が魅力的に思えるかもしれませんが、自由診療でのメリットもあります。
保険の場合は脇汗ボトックスに使える量は100単位と決まっていますので、体の小さい女性でも体の大きい男性でもボトックスの打つ量が同じになります。
そして、効果がなかった場合の保証がないそうです。
その変わり、自由診療の場合は患者さんの体の大きさや汗の量によって、ボトックスの量を増やすことができます。(料金も変わって来るかもしれませんが)
そしてちゃんとしたクリニックでしたら、数週間たっても効果が感じれない場合の対処法が整っています。
私が勤めていたクリニックでは2週間しても効果が感じられない・少ない場合は追加費用なしでボトックスを追加していました。(あまりいませんでしたが)
ですので、脇汗ボトックスの保険は自由診療と同じ治療が安く受けられるというわけではないということです。
多汗症手術の保険適用に関してはこちら↓の記事でまとめてあります。
日本初の保険適用が認められた、脇の多汗症用の塗り薬「エクロックゲル」に関してはこちら↓の記事でまとめてあります。
ボトックス治療の流れ
私が勤めていたクリニックの例です。
- カウンセリング・診察→両脇で約10分ほどの治療ですので相談に来られた当日でも予約に空きがあればすぐに治療が可能でした。
- 麻酔クリームを塗布→約30分〜1時間ほど待機。治療を別日に希望される場合は麻酔クリームお渡しして事前に塗って来てもらう。
- 消毒とマーキング→主に脇毛の生えている範囲をマーキング
- マーキングに沿って注射→クリニックによって注射の間隔・痛みの緩和方法・注射針が変わってきます。
- 圧迫と冷却
施術後2〜3日は入浴、サウナ、岩盤浴、激しい運動、アルコールは控えてもらうよう伝えていました。
患者さんが1番心配されるのは痛みでしたが、個人的には結構痛いと思っています。
麻酔クリームが効いていれば針をさすチクっとした痛みはないのですが、薬が注入される痛みがあるため完全に痛みはなくなりません。
時間がないときにアイシングだけで打ったこともありますがかなり痛かったです。
でも、脇汗の悩みから解放されるなら頑張れる痛さでした。
脇汗ボトックスまとめ
病院やクリニックで受けられる脇汗対策「脇汗ボトックス」について紹介しました。
メスを使わない脇汗ボトックスは脇汗手術に比べるとダウンタイムやリスクが少なく比較的気軽に受けられる脇汗治療で多くの方の脇汗の悩みを解消しています。
ただし、受ける病院やクリニック、保険などで効果や費用が変わってきますのでしっかり下調べをして信頼できるクリニックで治療を受けることをおすすめします。
また、注射や手術はハードルが高いと感じられる方には「制汗剤」や「脇汗対策インナー」がおすすめです。
気になる方はぜひチェックしてみてください。